コンサートを取り仕切っていたのはポルトガル・ブラジルを中心にしたポルトガル語圏の共栄組織だったが、進行は驚くほど酷いものだった。人材も技術もあるはず。明らかに手抜きである。前日になっても連絡は入らず、待ち合わせや約束は当然のように何度も破られ、数時間遅れで始まったコンサートはポルトガル語の音楽をひたすら優先したものだった。ソウルフラワーには「あと3時間待て」「演奏時間は5分で」などと言う。もうコンサートが終わってしまう。
焦りながらも彼らとケンカを続けていると、ポルトガル文化誇示にうんざりしていた観客が一気に盛り上がった。
ステージを見ると、中川さんがファッションショーのお姉さま方の列に続き色っぽくポーズをとっている。大ウケの観客。止める主催側を振り切ってゲリラ的に一曲目の「がんばろう」が始まった。見違えたように観客が湧く。一方主催側は司会者に一曲で演奏を終わらせるよう合図を送っている。しかし東ティモール人の司会者はこれを拒否。 後に聞くと、東ティモールでこのような強い拒否を見るのは珍しいという。
びっくりしている主催側を尻目に、「安里屋ユンタ」、「インターナショナル」と曲が続く。 観客がどっと踊り出て、翻った幕には"Against Neo-Liberalism" の文字。しかしそれ以上は許されず、盛り上がったままの観客を残し、4曲目「さよなら港」で終わるしかなかった。
約束の演奏時間ももらえず、MCも入れられない悔しさが残る。ソウルフラワーの演奏強制終了とともに続々と帰り始めた観客たちは、ポルトガルへの意思表示、ボイコットをしているように私には見えた。
コンサートの模様は地元のテレビでも繰り返し流れているらしく、ソウルフラワーの人気は上々である。「東ティモールでアルバム先行発売しよか(笑)」と中川さん。(p.2 へつづく)
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