震災の苦境の中から、それでも力強く海とともに生きていこうとしている人々を、温かく見守り共感する中川くんはまるで南三陸の海を見つめる車寅次郎だ。
ガレ場に咲いた野の花に注ぐ陽の光の様に愛を込めて歌っている。
それにしても、中川くんは素敵なメロディメーカーだね。
一度聴いたらその心地よさに耳を委ねてしまう。「ホレホレ節」も最高です!!
ただただ丁寧に織られた着物のような、中川流歌謡/フォーク/ロックアルバム。
今までの中川敬が全部入ってるような、楽しいアルバム。
一曲目が沁み過ぎました。
最後の「潮の路」も最高。
「静寂に 身を焦がす」
4年前の曲のセルフ・カバー「海へゆく」の一節に、
ガレキの上に生える草を痛烈に思い出しました。
新曲も含め、聴く人が完成させる余地を残した歌詞だからこそ時の流れとも寄り添える、
やさしくて懐の深い本物の歌の数々がこの一枚につまっています。
抑制の効いたアレンジとあいまって、何年たってもそのときのあなたと一緒に歩いてくれるでしょう。
金や権力のために「天動説 唱えてる」人々にも届けるべき。
「宇宙的規模で見れば目の前のことなんて大したことない、けれど・・・」
そんな余韻を残すアルバム・タイトルも見事です。
今度は鹿児島の海で聴いてみます。。
中川敬の歌声に胸かきむしられた夜。まだまだ眠れそうにない。
このアルバムは子守歌のように優しく、鎮魂歌のように力強く、今日の終わりを包み込んでくれる。
沖縄で青い海と空を毎日眺めて暮らしていると、ふと内地の人はこの青さを知らないのではないかという錯覚に陥ることがある。確かにツアー先で見る「海と空」は沖縄のそれとは違う色をしている。しかしこの島国、どこに行っても海の幸がうまいし、やっぱり「それでも私は海が好き」なのである。「この空はあの空につながっている」のである。ふるさとは違えど、日本中に、世界中にそれぞれの大切な「海と空」がある。このアルバムはそんな当たり前のことを再確認させてくれる。ニュースで見る世界は現実に地続きだ。「潮の路」で「この海はあの海につながっている」のである。「生活の柄」にバンジョーのように寄り添った三線がその証拠だ。
人生という旅の友よ、この2012年最大の収穫を聞きながら美味い酒を飲もうぜ!
中川敬みたいな声にならねえかなって叫んでたんだ
図太く骨っぽい声にならねえかなって叫んだんだよ
あの時から20年以上もずっと大きく叫んでるのに
俺の声はか細いまま変わらねえな
この声も憧れのまま変わらねえな
日本の政治家に「後戻りはしないぞ」と思わせる人は一人もいない。政治家だけではなく、歌うたいにも「後戻りはしないぞ」という人は少ない。みんなここにいたいか、今いるところから過去に戻りたい人ばかりだ。中川くんは「後戻りはしないぞ」と顔にも書いてある稀有な人だ。ぼくよりまだ若いのに、最初からそう書いてあるような人だ。どんな古臭いメロディを歌っても、彼の歌からはその気持ちが伝わってくる。その気持ちに乗っかって歌を聞いているのが心地いい。今回の彼のソロアルバムも、楽器の旋律が剣の舞のようだ。人は出会っては別れて行く旋律の中にいる。後戻りさえしなければ、人生は大きな新しい歌になる。
音楽や人間を愛する決意に満ちている。
メロディアスな新曲もインスト曲もカヴァー曲もみな傑作揃いで、
シンプルながら、音楽的なアイデアやくすぐりも十分に利いてる。
時代を越えて伝わるであろう歌や言葉が稜線のように連なって響き合い、
いろんな思いが交叉してしまう今の気分に、とても心地よく着地した。
今を生きぬくために必要な歌を覚えたいのなら、
まずはこのアルバムを手にすべきだと思った。
まだ録れたばかりの「女はつらいよ」のカバー音源をライブ会場で聞かせていただいたとき、うふー!って思いました。中川さんの歌は、特にアコースティックギターと合わさると西部劇のような雰囲気、土っぽくて乾いているのに粘りも強い。ストレートにこちらに向かってくる。払いのけようとしても、どどーっとくる。そんな男っぽさ全開なのに、女歌が妙に似合うのです。「♪繰り返すのね〜」と歌ってもらったときのキュンと来る感じ。たまりませんでした。曲がらない男がちょっと曲がるの、素敵です。
中川氏のソロアルバム「銀河のほとり、路上の花」は震災直後の氏の体験の物語だと言えよう。本作には『海』がキーワードのように使われているが、その言葉が響くたびに私の故郷である岩手・三陸の海が脳裏によみがえった。大津波は一瞬にして三陸を飲み込んだ。全てを失っても、それでも前を向きひたむきに生きる小さな命たちに向けられる氏の“寄り添う”ような歌声が優しくて温かくて泣けてくる。
M1「それでも私は海が好き」やM2「世界はお前を待っている」M4「海へゆく」などは大津波により、身も心も傷付いた東日本の沿岸に住む人々への『再生の賛歌』だと思う。私自身があの津波に親戚や友人の命を奪われているが、「それでも私は海が好き」なんだ、まさに!中川氏の感性と人間としての懐深さはまさに母なる(父なる?)海のごとし。素晴らしいアコースティックアルバムに敬愛を。
ソウル・フラワー・ユニオン、中川敬の2枚目となるアコースティック・ソロ・アルバム『銀河のほとり、路上の花』が届いた。ソロとしては2011年6月に発表された『街道筋の着地しないブルース』以来、1年半ぶりの新作だ。
2011年3月11日から1年9ヶ月。震災や原発事故で、それまでの生活の全てを奪われてしまった人はもちろんのこと、直接被災はしていなくても、あの日以来生活や環境などが激変してしまったという人は多いだろう。中川敬もまたその例外ではなかった。
「俺のこの1年半のスケジュールは、ライヴとレコーディング以外、ほとんどデモと東北で埋まってた」と中川。
震災の2週間後には、阪神大震災時に立ち上げたソウル・フラワー震災基金(※註1)を東日本大震災の被災者支援にシフトすることを決定。4月、中川、奥野真哉、高木克らとスタッフ数名が、支援物資を届けるために震災後の東北に初めて入っている。その1ヶ月後には初の被災地支援ライヴを行い、以降現在にいたるまで「ソウル・フラワーみちのく旅団」として、20数回に及ぶ被災地出前ライヴを行っている(※註2)。また、ソウル・フラワー・ユニオンやソウル・フラワー・モノノケ・サミットとしての活動の合間を縫って、昨夏以来全国で頻繁に行われている脱原発デモや抗議行動にも参加している。その数は実に50回を超えているという。
ライヴで唄を届け、デモでシュプレヒコールをあげる日々。それはもう、震災という「非日常」ではなく、震災後の現実としてすでに定着しつつある「日常」だ。今回の『銀河のほとり、路上の花』は、中川自ら「プラカードの余白が空と溶け合う、マージナルな部分を歌おうとした」と言うように、そんな日常のはざまの中でこぼれ落ちたさまざまな思いを紡ぎとめた作品である。
前作と同じく、「日々、思いつきで、その日に録りたいと思った曲を次々と録る」やり方で、大仰なコンセプトは決めずに進められたという今回のアルバムだが、できあがってみると、強烈に共通するトーンが見て取れる。もっとも象徴的なのは、「海」のイメージだ。
津波の多大な被害を受けた地域のひとつである宮城県・女川港は、中川が震災後初めて訪れた「東北の海」だ。後に<キセキの渚>へと繋がる縁となった「瓦礫」の中のターンテーブル(※註3)を発見したのもこの場所。「瓦礫」に覆い尽くされた港から、呆然としたまま眺めた海は、この1年半の中川の脳裏に何度も去来する「原風景」になっているという。
1曲目を飾る美しいバラッド<それでも私は海が好き>は、被災地で耳にした現地の人たちの言葉から生まれた曲だ。多くの人の命と幸せな生活を一瞬にして奪った津波。あれ以来恐ろしくて海を見ることができないという人がいる一方で、「それでも私は海が好き」と語る人もいる。全てが変わり果てた今もなお、震災前の日常と同じ、懐かしい姿を見せる故郷の海。怖いけれど懐かしく、哀しいけれど美しい。それは、阪神大震災当日に輝いていた満月に対して、被災者の人々が寄せた思いから生まれた<満月の夕>を思い出させる(※註4)。
ライヴでの人気も高い<海へゆく>や、ソウル・フラワー・ユニオンの代表曲のひとつである<そら>、盟友・大熊ワタルがクラリネットで参加したラスト・ナンバー<潮の路>。これらの曲で歌われる海と空の普遍的な情景は、普遍的であるからこそ、個々の思いにダイレクトに響く。アルバム全編で多彩な音色を奏でるアコースティック・ギターは、言葉にならない感情の波を実に豊かに伝えてくれる。バンドでは、ヴォーカリスト・中川敬の圧倒的存在感に押されがちの、ギタリスト・中川敬の魅力を再発見した気分だ。
新曲<銘記せよ、その鼓動を>は、個人的には最も胸に響いた一曲。今年6月に配信限定の先行シングルとして発売された<世界はお前を待っている>もそうだが、この曲を聴いて思い浮かぶのは、昨年から全国で数多く行われている脱原発デモや抗議行動に参加しつづけている友人たちのことだ。みなそれぞれの仕事があり、生活があり、家族があり、年齢も性別も職業もばらばら。それぞれの思いを抱え、寒い雪の日も、梅雨の雨の日も、灼熱の夏の日もずっと声をあげてきた。約束も待ち合わせもせず、ひとりでやってきて声をあげ、またひとりで帰っていく。
彼らひとりひとりの胸の思いは、大きな歴史に記されることはないかもしれないが、今はまだ見えない未来へ続く道に、轍のように刻まれている。たとえ誰かがそれをなかったことにしようとしても、他ならぬわたしたち自身がそれを覚えているし、決して忘れることはない。声が途絶えることはない。柔らかなメロディの奥に、そんな強い決意を感じさせてくれる曲だ。
ソウル・フラワー・ユニオンのライヴでは昔からおなじみの<平和に生きる権利>には、フィドルの太田恵資が参加。最近デモで耳にすることが増えたチリの抵抗歌<不屈の民>のインストも収録されている。ニューエスト・モデル時代の名曲<もぐらと祭>と先行シングルの<世界はおまえを待っている>には、TwitNoNukes大阪の主催者で、デモのドラム隊でも活躍するnuhoがパーカッションで参加している。
ほかにも、2度のモノノケ・サミットのツアーと東北被災地ライヴをともに廻った歌姫、二階堂和美のカヴァーとなる<女はつらいよ>、高田渡の代表曲で、沖縄の漂泊の詩人、山之口貘の詩を歌った<生活の柄>、新曲の<こぼれ花>など、帰る故郷と家を失い、移動しつづける現代のディアスポラに捧げる唄も多く収録されている。中でも、今から100年以上前、ハワイに移民した日本人が、辛い労働の中で生み出した望郷の民謡<ホレホレ節>の、中川の深く優しい唄声には心を揺るがされる。既に数年前から、モノノケ・サミットのレパートリーでもある曲だ。「そのわきゃちゃっちゃで(そのわけは秘密で)ぬいぬい・はなはな(さあたくさん仕事仕事)」という、伊丹英子のハワイ語のお囃子もいい。胸に湧き上がる思いをぐっとこらえて、とりあえず今できることをやろうという気持ちになる。遠い昔に生きた誰かも、きっとそうしていたはずだ。
人が海や空を眺めるときは「ひとり」であることが多い。表面だけをなぞるような「絆」や「連帯」の言葉より、孤独をかかえたひとりの人間がそれぞれの一歩を踏み出すことに希望を感じる。ひとりぼっちで見つめる海と空の向こうに、同じようなひとりひとりが繋がっているのがわかるから。
遠い昔のハワイも、基地問題に揺れる沖縄も、震災後の神戸も東北も福島も、数々のデモの現場も、ひとりでギターに向かうレコーディングの現場も、全ては「銀河のほとり」にある、と中川は言う。アルバム・タイトルにもなっている<銀河のほとり>がインスト・ナンバーである理由は、大きな宇宙の海の前に在るわたしたちひとりひとりが、そこに自分の「唄」を刻むためなのかもしれない。
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