LIVE FROM THE POWERHOUSE

LIVE FROM THE POWERHOUSE
ライヴ・フロム・ザ・パワーハウス

MOZAIK
モザイク

deight records / DDCZ-1123 / (ZO-san record / ZO-001)
ALBUM / ¥2,178+税 Sorry, out of stock.
2004年9月24日 発売
アイルランド盤直輸入・国内仕様
8pブックレット、大島豊氏による日本語解説&対訳付
ソウル・フラワーのヒデ坊による新レーベル”Zô-san Record”第1弾!

「つづら折りの宴」をきっかけに、アンディとドーナルがもう一回一緒にやろうぜ! と始めた幻のバンド、Mozaik(モザイク)。
オーストラリアツアーよりブリスベンはパワーハウスでのライブ音源まで収録!

  1. A Blacksmith Courted Me/Blacksmithereens
  2. My Heart’s Tonight in Ireland/Robinson County/ The Trip to Durrow
  3. Suleman’s Kopanitsa
  4. The Rocky Road to Dublin/Indian Ate the Woodchuck
  5. Romanian Hora/Black Jack Grove
  6. Sandansko Oro/Mechkin Kamen
  7. Pony Boy/Never Tire of the Road
  8. Field Holler Medley
  9. Baneasa’s Green Glade/Roumen Sirakov’s Daichevo
  10. Smeseno Horo
  11. The Last Dance

produced by Donal Lunny


伝統発未来行き。超絶オヤジ5匹による、音楽の有機的レヴォリューションに悶絶!必聴!!!
(山口洋/ヒートウェイヴ)
アイリッシュ・トラッド、十年に一枚の名作、ここに登場!これ聴かんで何聴くねん!
(中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)
Smeseno Horoという曲が僕を虜にしてまだ日も浅いのですが、このメンバーによる新録、さらにごろごろ転がってます!
Donal Lunnyの音楽はいつも人の心の原野をつないで転がっていきます。
(岸田繁/くるり)
ドーナル・ラニーの作り出す音の波は、晴れの日に航海に出るような、すがすがしさに満ちあふれていて、その波を、私はいつも心待ちにしています。彼の新しいバンド“Mozaik”はブズーキやマンドリン、フィドル、バンジョーなど、なんとも美しい絃楽器が見事に絡み合う、躍動する音。かき鳴らす、腕の動きまで見えてくるよう。そして、アンディ・アーヴァインの声が、軽やかに、遠い空を呼び寄せる。“My Heart’s Tonight in Ireland”、いいなぁ。
(遊佐未森)

21世紀のプランクシティ

 これこそ、21世紀のプランクシティだな。2003年の夏に伊丹英子から送られてきたラフ・ミックス音源を聴いた時にまず口を突いて出てきたのは、そんな言葉だった。モザイクがいよいよ本格始動してライヴを行っているとドーナル・ラニー本人から聞いて胸ときめかせたのは、更にその1年前のこと。待たされた。しかし、待ったかいのある、掛け値なしの傑作である。
 モザイクとは元々、伝統音楽の汎ヨーロッパ的混交を目指し、アンディ・アーヴァインが80年代半ばに結成した伝説の多国籍バンド(当時の表記は Mozaic)だったのだが、当時は結局数回のライヴを行っただけで解散してしまった。そして一昨年、夢よ再びと、新たにメンバーを集めてスタートしたのが、今回の新生モザイクである。アンディの他は、東欧~バルカンものからアイリッシュ・トラッドまで何でも来いのハンガリーの超人的マルチ・プレイヤー、ニコラ・パロフ、“オランダのフェアポート・コンヴェンション”とも言うべきファンガスのフィドル/マンドリン奏者レンス・ヴァン・ダー・ザルム、アパラチア音楽~ブルー・グラスの名フィドル/バンジョー奏者ブルース・モルスキー、そして盟友ドーナル・ラニー。全員に共通しているのは、プレイヤーとしてのヴァーチュオーゾぶり、ジャンルや地域にとらわれない幅広い音楽知識と実験精神、そして、同時代音楽(コンテンポラリー・ポップス)としての伝統音楽の創造への強い意志、か。
 アイルランドと東欧とアメリカの伝統音楽の融合。と簡単には言いたくないほど、その渾然一体ぶりはあまりにもスリリングであり、予想をくつがえす展開の連続である。各人が随所でスキルとセンスを自在に発揮し、丁々発止のバトルが繰り広げられているが、とりわけモルスキーのオールドタイミーなフィドルは、アンサンブルに素晴らしく爽快なスウィング感を与えており、唸らされることしきり。アンディのヴォーカルも、一層の滋味と力強さを感じさせる。
 30年前、プランクシティは、アイリッシュのアコースティック・トラッドに初めてロック・ジェネレイションのセンスを持ち込んでトラッドのイメージを一新し、客層を一気に広げるのに成功したわけだが、この新生モザイクのサウンドは、ワールド・ミュージック・ムーヴメントの盛衰と文化のボーダーレス/多重化時代(グローバリズムの時代)をしっかり見据えた上で、ネクスト・レヴェルの新しい伝統音楽へと昇華されている。これはひとつのファンタジーであり、また革命でもある。

松山晋也(音楽評論家)