Rain the Rainbow【ライナー】
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5年振りに音楽シーンに放つ、27才の男のリアル。

 前作の1stアルバム『Born!』から、5年振りとなるオリジナル・フル・アルバムが完成した。THE YOUTH特有の男臭いロックチューンや、ブルージーなギターも健在ながら、ポップでにぎやかなロックンロールが印象的だ。ゲストキーボーディストとして奥野真哉(ソウル・フラワー・ユニオン)が3曲に参加。バラエティに富んだ楽曲は、より耳にキャッチーに感じられ、グッと開放的な雰囲気に仕上がっている。

 振り返れば、この5年間はけっして平坦な道ではなかった。レコード会社との契約が終了し、思い悩む日々も経験した。しかし、地元・仙台で毎月ライブを続け、着実にファンを増やす中で、育て上げた楽曲たち。タイトルの『Rain the Rainbow』は、直訳すれば“雨のように虹が降る”。雨が降る道を歩いてきた彼らにとって、今も止んではいないが、雨の中でも空に七色の光を放つアルバムが完成した、と言えるのかもしれない。

 ヴォーカルで作詞・作曲を手がける中村維俊は、さわやかなルックスから想像できないが、実生活では27才にして4児のパパ。リード・シングルの「休日」など何曲かで、プライベートを連想させるモチーフを描いている。子供の成長を見守る若い夫婦像は、今も二人は青春なのだなと感じさせてくれる。「Birthday Song」には、待望の長女誕生への想いを重ねているとも聞く。…そんな幸せとは裏腹に、収録曲はアンハッピーな結末の濃密なラブソングも多い。現実を考えれば美しい恋の妄想とも言えるが、それぞれの恋愛シチュエーションに込めた純情な想いを、これだけストレートに歌い上げられるバンドも、やはりTHE YOUTHしかいない。

 若さゆえ、演奏力などバンドの実力が評価されにくい面もあったが、ようやく相応な年齢になってきた。この5年間のTHE YOUTHの到達点となる傑作アルバム、ついに誕生!

(文・下村祥子)

Author : THE YOUTH | 2008年12月02日 12:55 | Comment : (0) | Trackback : (0)